ボードゲーム 「カタン」で勝たんまいけ ~週末に繰り広げられる熱き戦い~

2022年6月1日

土曜日の夕食が終わると、夫から発せられる「カタンやるか」の鶴の一声。コロナ禍以前から、我が家で流行っているボードゲームの1つ、「カタン」。ドイツ発祥だけあってなかなか堅実なゲームです。1995年発売とのことなので、わりと新しい、私の若い時には無かったものです。

カタンってどんなゲーム?

カタンを簡単に説明すると、3〜4人で行う陣取りゲームです。*サイコロ2つを同時に振って、出た目の合計数と同じ数字の場所に家(開拓地)が建っていたら、資源がもらえる *資源を組み合わせて道、開拓地、都市(都市は開拓地をグレードアップさせたもの)を作っていく *資源の組み合わせで「発展カード」がひけ、チャンスを広げられる *開拓地1つにつき1点、都市2点などで合計10点先取した人が勝ちで、1人勝った時点でゲーム終了 。ルール自体はとても簡単です。

小学生でもわかる簡単なゲームなのに、「ボードゲームの王様」と呼ばれ、世界大会まで開かれているのはなぜでしょう。理由は、運(サイコロ)知力(作戦の組み立て)交渉力(コミュニケーション能力の発揮)が合わさって、最後までドキドキワクワク楽しめるからだと思います。難点は、プレイ時間が長くなる(我が家では3人で40〜50分、4人だと60〜80分かかります)ことと、序盤であまりにも差が開くとやる気が失せてしまうことぐらい。しかし、我慢して勝機を探ると大逆転の可能性もあり、最後まで気が抜けません。

勝った時は、圧勝でも競り勝っても大逆転でも、本当に嬉しい!ドーパミン出まくりです。負けても、「運が悪かった!あの時7さえ出なければ勝てたんに!」「あの時の作戦ミス…先に都市にしとけばよかった…」と、運と作戦が絡むので、不思議とガッカリ感は少なく、「また、やろう!」に繋がります。さすがに連敗が続くと凹みますが、「もうやりたくない」とはならず、「次は勝つぞ!」となるのは、一種の麻薬効果ですかね。

カタンの流れ ①~②

「カタン」の流れは ① ゲームの場を作る ② 順番を決め、最初の陣取りをして資源をもらう ③ サイコロの目と同じ数字の場所に家が建っていたら、資源がもらえる(誰が振った場合でも、もらえる) ④ 自分のターンに資源を使って道、家(開拓地)、都市を作る。「発展カード」をひく、使う。資源が足りないときは、誰かと交渉して交換することもできる 。資源がないと、何もできないこともある ⑤ 道を5本以上繋げると「最大交易路」、騎士カード(発展カードの1つ)3枚以上の使用で「最大騎士力」各2点のボーナスポイントがもらえる。ただし、他の人が上回ると、このポイントはそちらに移動する。 ⑥ 開拓地 1点・都市2点・ボーナスポイント・発展カードの1つの1ポイントの組み合わせで10点以上になったら勝ち です。

では、1つずつ詳しく説明していきます。

① ゲームの場を作る…前提として、カタン島は無人島です。ここに上陸したプレイヤーたちが、資源を入手しながら道や開拓地を作り、他の人よりいかに自分の陣地を広げ、発展させるかというゲームです。カタンの最大の魅力は、この島の初期設定が無限にあるということです。まず、海のフレーム6枚を所定通りはめ合わせて大きな中抜けの6角形を作ります。次に6角形の地形タイル19枚(木の森林4・レンガの丘陵3・麦の畑4・羊の牧草地4・鉱石の山地3・砂漠1)を所定の位置から並べます。これが、やる度に違う位置に並ぶため、長く楽しめる1つの要素です。最初の1枚は港の無い場所(3ヵ所あるので、我が家では順番にしています)にはめ(下の写真では、1枚目が砂漠)、その下(10レンガ→11麦)に縦に並べていき(縦5枚)、次に1枚目の左隣(5羊)にはめ、同じく下(9鉱石)へ(縦4枚)。次は、1枚目の右隣(8木)から下(3羊)へ(縦4枚)。次に、1枚目の左の左(2麦)から下(6羊)へ(縦3枚)。最後に1枚目の右の右(4羊)から(縦3枚)はめ込みます。(注:この写真は今回たまたまこういう配置になったもので、裏向きにしてよく混ぜたり切ったりしてから並べます) 次に、数字の入ったチップを地形パネル1枚目から順に時計回りと逆に置いていきます。裏にA〜Rが書いてありますので、まずアルファベットの面を上にして並べてから、数字の面にひっくり返すと分かりやすいです。この時、注意するのは、砂漠には数字チップを置かないこと!うっかり置いてしまうと、「足りない!どっか落ちてない?」と騒ぎになります。(下の写真では、1枚目が砂漠だったため、左隣の羊の牧場地にA=5のチップを置きます。次は左隣の麦畑にb=2)これで今回のカタン島のマップが出来上がりました。地形パネルと数字チップの組み合わせで、無限(2兆9,000億通り以上)のカタン島マップが作れる訳です。

② 順番を決め、最初の陣取りをして資源をもらう…サイコロ2つを同時に振って、順番を決めます。(振る順番は関係ありません) 一番大きな数を出した人から順に時計回りで進みますが、初期配置の時のみ1→2→3→(4)→(4)→3→2→1の順で配置ができます。初期配置は道を1本とそれに繋がる家(開拓地)を1つ置きます。道はパネルとパネルの間、開拓地は3つ(または2つ)のパネルの中心です。先ほどの順番で合計道2本、開拓地2つ置けますね。ここの面白いポイントは、1,2番手は1回目は資源や数字の有利な場所に置けますが、3,4番手は不利と思いきや、作戦によっては大変有利な置き方ができるところです。実際、勝率は初期配置ではあまり変わりがないと思います。かえって3,4番手が強かったりします。

分かりやすく説明するために発展カードを表に出していますが、本来全て裏向きでカードの山になっています

この写真のゲームでは、1番手がオレンジ(夫)、2番手が白(息子)、3番手が青(私)の3人で、青と白が置き終わり、オレンジがどこに置くか長考に入っているところです。置き終わったら、後に置いた方の資源を1枚ずつもらうことができます。青は、3羊の牧草地(黄緑のパネル)・6レンガの丘陵(茶色のパネル)・11の麦畑(黄色のパネル)を後に置いたので(というか2回続けて置けるので、作戦としてこちらを後にしたことにする)羊とレンガと麦の資源カードをもらいました。

やうやう
やうやう

私はいつもバランスよく資源がもらえるような配置にします。鉱石はのちのち非常に重要になるので、3・9・12のうち、最も出る確率の高い9の場所を取りました。

ここで、気付かれましたか?一番出やすい「7」が見当たりません。実は、7は「盗賊」の数字なのです。初期配置では、砂漠に盗賊の黒いコマが置いてあります。7が出たら、その時資源カードを8枚以上持っている人は誰でも半分盗賊に盗られます(没収され、資源カード置き場に戻します)。このカードは、自分で選んで捨てることができます。7を出した人は、盗賊のコマを好きな地形タイルに置き、その場の所有者の一人から資源カードを1枚もらうことができます。こちらのカードは、基本的には裏向きのカードをランダムに引き抜くのですが、交渉で欲しいカードをもらうこともできます。例えば、引く方は麦が欲しい、引かれる方は麦はあげても差し支えないが、鉱石を引かれたら困る、というような場合、交渉で麦を渡すとお互い嬉しい展開になります。

ピンボケすみません

全員の初期配置が終わりました。オレンジ(夫)…木の4・5、レンガの6・8、麦の9。羊と鉱石がありませんが、レンガが6と8で強いので、レンガの港へ道を伸ばしていく作戦でしょうか。「各資源の港」に開拓地があると、その資源カード2枚につき好きなカード1枚に変えることができます。「3:1の港」は、どのカードでも同じ資源3枚で好きなカード1枚に、港を持っていなくても同じ資源カード4枚で好きなカード1枚に変えることができます。なので、夫の場合、木とレンガで資源カードをたくさんもらい、羊と鉱石カードに変えていく作戦だと思います。また、道を伸ばして開拓地を作ると、新たにその場所の資源も手に入ります。また、木の5には2つ家が建っているので、サイコロの合計が5だった場合、資源カードは2枚手に入ります。開拓地は都市にレベルアップできます。都市になると、資源カードは2枚手に入ります。木とレンガの数字が強いので、道も伸ばしやすいです。白(息子)…木の8、レンガの10、羊の3・4・5、鉱石の9。これも羊の港がライバルもなく取れそうなので、麦がありませんが羊で稼いでいく作戦ですね。息子はよく突拍子もない作戦でいくので(それでも勝つんですよ、なんでこれで勝てるの?!といつも不思議です)、今回は割とまともな配置だと思います。青(私)…木の4、レンガの6、麦の11、羊の3・6、鉱石の9。私は鉱石の港へ行くか、木を強化するために木の5・10へ向かいたかったのですが、オレンジに邪魔されて行きにくくなりました。ならば、レンガの港をめぐって夫とバトルになるかもです。ちなみに合計6が出た場合、私にはレンガと羊の両方のカードが入手できます。いざ、出陣!

基本情報

*基本情報* 【最初に分配されるコマ】道15本・開拓地5個・都市4個(赤・青・白・オレンジの4色4人分)【資源カードの使い方】1.道を作る(木・レンガ各1枚ずつ) 2.開拓地を作る(木・レンガ・麦・羊各1枚ずつ) 3.開拓地を都市にレベルアップする(麦2枚と鉱石3枚) 4.発展カードをひく(麦・羊・鉱石各1枚ずつ)資源カードは本来は裏向きにしてほかの人にわからないようにしますが、我が家では全てオープンにしています。だれがどのカードを持っているのかわからないと、交渉が難しいからです。また、「この人、都市にできるカードそろっているから、騎士カードで1枚減らしてやれ」などわかりやすいです。一度、隠してやりましたが、私たち老夫婦は人のカードまで覚えていられないので、息子の一人勝ちになってしまいおもしろくないのです。

【発展カードの使い方】発展カードは引いてすぐは使えません(ポイントカードを除く)引いた次の自分のターンで1枚だけ使えます。カードは裏向きにして人に見られないようにし、使用するときに表に向けます。1.騎士カード(14枚)…置いてある盗賊コマを好きな場所に置き換えることができる。3枚出すと、「最大騎士力」のボーナスカードを所有することができる(ただし、4枚の人が出た場合、所有権はそちらに移る。所有者よりも多くなった時点でその都度移動する。)2.進歩カード(各2枚)…「街道建設」資源カードを使わずに道を2本置くことができる。「発見カード」資源の山から好きなカードを2枚もらうことができる。「独占カード」指定した一つの資源を全員から奪うことができる。3.ポイントカード(5枚)…1ポイント加算できる。このカードのみ、ひいて合計10点になる場合、すぐにオープンにして勝利宣言できます。

【ボーナスカード】条件がそろうとボーナスカードが所有できます。このカードは、所有者が変わっていく可能性があります。1枚2点ずつになります。1.最長交易路…道が5本以上になると所有できます。ただし、道の途中に他の人に開拓地を作られると、そこで長さは途切れてしまいます。2.最大騎士力…発展カードの騎士カードが3枚出た時点で所有できる。他の人が4枚以上になると、そちらに移動します。

点数の取り方

こうして道をつなげ、開拓地を立て都市に発展させ、ポイントカードやボーナスカードを所有して合計10点以上先取した人が勝ち、その時点でゲームは終了です。2位3位などの順位付けはしません。例えば、①よくある勝利パターン 開拓地3つ(1×3=3)・都市2つ(2×2=4)・最長交易路(2)・ポイントカード1枚(1)合計10点 *バランスよく勝利を目指すタイプ ② 逆転勝利可能パターン 開拓地4つ(1×4=4)・最長交易路(2)・最大騎士力(2)・ポイントカード2枚(2)合計10点 *鉱石が手に入りにくく都市にはできないが、道と発展カードで点を稼ぐタイプ ③ 運に頼らないパターン 開拓地4つ(1×4=4)・都市3つ(2×3=6)合計10点 *地道にコツコツタイプ 

都市を作るためには、まず開拓地を作らなくてはなりません。開拓地を作るためには、まず道を作らなくてはなりません。開拓地は道が最低2本でつながってなければなりません。(開拓地と開拓地の間は道2本以上離れていなければなりません) なので、初期は道を作るための木とレンガが必要になります。道は、自分の道か開拓地・都市に隣接して延ばしていきます。開拓地を早めに都市にすることができたら、資源も倍入りますので優位な展開が臨めます。そのためには鉱石がたくさん必要になります。その辺の作戦をどうするか、新たなマップと数字を見て、即座に組み立てていくのがおもしろい。思いがけず期待していなかった資源が手に入り、作戦変更になることもよくあります。

カタンの流れ ③~⑥

③ サイコロの目と同じ数字の場所に家が建っていたら、資源がもらえる  ④ 自分のターンに資源を使って道、家(開拓地)、都市を作る。「発展カード」をひく、使う…最初の人がサイコロを2つ一緒に振ります。例えば、オレンジが9を出したとします。9は麦畑と鉱石の山地ですから、そこに開拓地のある、オレンジが麦のカードを1枚、白と青が鉱石のカードを1枚もらえます。今はオレンジのターンで、初期配置の時に木を2枚とレンガを1枚持っていましたので、これでカードが4枚になりました。木とレンガ1枚ずつで道が作れますので、6のレンガと2の鉱石の間に道を1本作りました。次は白のターンです。白は初期配置で木を1枚と羊を2枚もらっています。先ほど9が出たので鉱石も1枚増えました。サイコロを振ると、11でしたので、青にだけ麦が1枚当たりました。今のままだと、何もできないのですが、青が麦を2枚持っているので、自分の木1枚と青の麦を1枚交換しませんか、と提案してみました。青はなるべく早いターンで道を作りたいので、交渉成立。白は、交換してもらった麦と持っていた羊と鉱石を使って、発展カードを1枚引きました。自分だけ見えるようにして見ると騎士カードでしたが、すぐには使えません。自分のところに盗賊が置かれたら使おうと、裏面にして置いておきます。青は、木・レンガ・麦・羊・鉱石を持っています。サイコロを振ると、7が出ました。全員持っているカードは8枚以下なので没収はありませんでした。最初砂漠に置いてあった盗賊を、出る確率の高いレンガの8に置き、オレンジから資源を抜き取ります。オレンジは木を1枚と麦を1枚持っています。青は木の方がいいなと思い引きましたが、残念ながら麦でした。木とレンガ1枚ずつで羊4と麦11の間に道を1本作ります。レンガの港を巡るオレンジとのバトルが勃発です。残りの3枚で発展カードが引けますが、ここは我慢してカードを貯めて道と開拓地を作っていきたいと思います。このように、順々進めていきます。道や開拓地を作る・他のプレイヤーと交渉する・自分の持つ資源カードを違う種類の資源カードに交換する・発展カードに交換する、は、自分のターン中何回でも何種類でもすることができます。「前ターンに引いた発展カードを使う」ことのみ、1枚分しかできません。

途中経過

オレンジにレンガの港を取られるとヤバいので、白と青が協力して青が港を取ることに成功しました。これでオレンジは勝つのが難しくなりましたね。この段階の点数は、盤上だけでは、オレンジ:開拓地2つの2点、港なし。白:開拓地2つ、都市1つの計4点。羊の港所有。青:開拓地3つ・都市1つの計5点。鉱石とレンガの港所有。

青が道を5本つなげたので、「最大交易路」のボーナスカードを所有しました

⑤ 道を5本以上繋げると「最大交易路」、騎士カード(発展カードの1つ)3枚以上の使用で「最大騎士力」各2点のボーナスポイントがもらえる…青が道を5本伸ばしました。この時点で青は最大交易路のボーナス点を2点増やし、7点になりました。残り3点です。開拓地や都市を1つで1点ずつプラス、発展カードを引きまくって最大騎士力かポイントカード狙い。手元の資源カードを見ながら作戦を練ります。他の人たちの伸びが悪いので、これは圧勝パターンかも。油断は禁物です。特に最大交易路はいつ誰に取られるかわかりません。これは逃げ切りたいですね。

合計10点になり、青の勝利

⑥ 開拓地 1点・都市2点・ボーナスポイント・発展カードの1つの1ポイントの組み合わせで10点以上になったら勝ち です…青は開拓地を一つ増やして8点にし、発展カードを引きまくる作戦です。ポイントカードは来ませんでしたが、運よく騎士カードが3枚揃い、3枚目の騎士カードを出した時点で10点になり、青の勝利です。開拓地4つで4点・都市1つで2点・最大交易路2点・最大騎士力2点で合計10点です。

やうやう
やうやう

この日は運よく4戦3勝という、いまだかつてない勝率を出しました。この後の勝負で、麦が2(出る確率1/36)しかないにもかかわらず、2が連発したことも。確率論だけでは勝負がつかないのも、カタンの面白さです♪

あったら便利なもの

あったら便利なお菓子の缶とチャック袋

最後に、あったら便利なグッズ紹介。小さなお菓子の缶(これは、バレンタインのチョコレートが入っていたものだったと思います)とチャック付きの袋です。お菓子の缶は、この中でサイコロを振ります。2つあるし盤上では道や開拓地のコマをずらしかねないので、この中で振るようにしています。缶から出た場合は無効という我が家ルールがあります。終わったら、細かいものをまとめて入れておけます。チャック付きの袋には、道・開拓地・都市を色別に(我が家は2色ずつ)入れています。なぜ2色なのかな、たまたまだと思います。袋があるはずなので、4色別々にしておきます。

世界中で楽しまれている「カタン」 麻雀みたいな音も出ず、電気も使わず、手も頭も目も口も使って脳トレにもなり、たまにみんなで協力して一人を落としたり、欲しい場所や港のバトルに負けた腹いせに執拗に嫌がらせをしたりして微妙な雰囲気になることもありますが、とにかく面白い!気になる方には絶対おすすめします。5~6人で遊べる拡張版や海に出ていく海賊版など、広げていくこともできますが、とりあえずはスタンダード版一つあれば末永く遊べると思います。